皆さんも実感されているかもしれませんが、言葉は力を持っています。何気ない言葉でも相手にとても大きな影響を与える場合があります。言葉は使い方しだいで、相手をおとしめることも、励みとなることもあります。
ある女性がパートでレストランに勤めました。入って間もない頃の彼女は、注文を手持ちの機械に入力することが苦手でした。サービス業が初めてだった彼女はお客さんの前で一層緊張してしまい、注文を聞きながら機械に入力する際に、指がうまく動かなかったのです。注文したものを誤って違う品物を押してしまったり、注文していないものを押してしまったりと悲惨な状態でした。
そんな緊張と不安の中で勤めている頃、あるお客さんが「研修中」と書いてあるバッジに気がついて「ゆっくりでいいですよ」と声をかけてくれたそうです。彼女自身は、緊張と不安の中で「お客様には迷惑をかけられない」と思いながら落ち着いて作業をこなしているつもりでしたが、あせっているのが伝わったのでしょう。この女性はお客さんの一言に救われ「言葉では言い表せないくらいうれしくて感謝の気持ちでいっぱいだった、こんなお客様に出会えてよかった」と言うのです。
たった一言声をかけるだけで、相手にとってはそれがものすごく励みとなることがあります。一生忘れられない大切な言葉にもなりうるのです。ついつい厳しい言葉を出してしまいがちですが、前向きな言葉を出せるような人になりたいものです。