咲いて散って また咲く準備  2020年04月30日

 毎年春になると、桜の花を愛でる方が多いと思います。私もその一人です。ですが、咲いている花よりも、桜吹雪に目がいくようになってきました。風に舞って散っていく花びらは、風情があり、儚さを感じるからです。

 江戸時代の僧侶、良寛さまは「散る桜 残る桜も 散る桜」とお歌を残されています。これは桜の花に例えられた「いのち」のお歌です。まさに今散っていく桜を見届ける桜も、いずれは散っていく。私たちが今見届けていく側であっても、いずれは私たちが見届けられる側となっていくのです。いつまでも咲き続ける桜の花がないように、いつまでも私たちの命が続くことはないのです。桜の花が咲き、散っていく。そして一年間しっかりと養分を蓄え、また翌年には花が咲く。私たちの人生も同じようなものです。日々お念仏をお称えすれば、私たちの人生という花は、今度は極楽浄土で咲くのです。念仏を称える者は、極楽浄土の蓮のつぼみに宿ります。私たちがこの世でお念仏を称えた数の分だけ、蓮の養分になるのです。その養分のおかげで一刻でも早くつぼみは開花することでしょう。開花しますと、極楽浄土での生活が始まるのです。この命に限りがあるからこそ、今準備が大切なのです。

 養分があっても咲かない花があるように、準備をしても人生のチャンスを逃すこともあります。極楽浄土に往く準備をすれば、そのチャンスを逃すことはありません。共々にお念仏を称えて準備を整えていきましょう。
合掌