みんなに会える夏  2020年09月01日

 このコロナ禍で、会いたい人となかなか会えない状況となってしまいました。特に8月は長期休暇の時期。いつもならば、ご実家に帰省される方々も多いでしょう。しかしながら、今年はいったいどうなることやら…。

 浄土宗の根本経典の一つに『阿弥陀経』に、「俱会一処(くえいっしょ)」という言葉があります。これは、「俱(とも)に一つの処で会う」という意味です。
いつも通りができなくなる、というのはいつの時代にも起こっています。法然上人も天皇の命により、住み慣れた京都の地を離れなければならない時がありました。この別れをお弟子達は誰もが悲しみました。その中の一人「九条兼実公(くじょうかねざねこう)」がいらっしゃいます。兼実公は、別れる悲しみを上人に吐露されたのです。しかし、法然上人は「悲しむことはありません。我々は極楽浄土を目指し、お念仏を称える仲ではありませんか。たとえ、今生の別れになったとしても極楽で再会できますよ」と残して旅立たれたのです。残念ながら、今生の別れとなったしまったお二人。そしてその数か月後、兼実公が上人より先に生涯を終えられたのです。しかし、法然上人も生涯を終えられた時、約束通り、極楽浄土で再会されたことでしょう。

 普段離れて暮らすあの人が、いつもならば会える夏。たとえ会えなくても心は一つにお念仏。離れていてもお互いにお念仏を称えていれば、極楽での再会は間違いありません。その再会は永遠に離れることがない再会です。

合掌