そっと手を貸す思いやり  2021年04月30日

 思いやりにふれられた時心が温まります。私には忘れられない思い出があります。未熟だった私にとって、とても有難く心が温まる「思いやり」を先輩から頂いたのです。それからは、私も後輩たちにできるよう努めています。

 私が22歳の8月5日に、父が交通事故に遭い入院をしました。8月と言えばお盆の時期です。父が入院したことにより、全てのお参りを変更せざるを得ませんでした。日々変更とお参りに追われ、「なぜこんな時に事故に遭うんだ」と心で父を疎ましく思ったこともありました。そんなお盆を何とか終えることができ、安心したのも束の間、今度はお施餓鬼法要が待っていたのです。どうしたらいいのか右往左往していた時、先輩方が手伝いに来てくださいました。「大変やろうから手伝いに来たよ」その言葉がどれほど有難かったことか。そのお礼をお伝えすると「あなたのお父さんには良くしてもらった。だから手伝いに来たんやで。だから、僕に返さなくていいから、僕の子どもに返したって」と言われたのです。その言葉を20年経った今でも忘れず、その恩返しをお子さんに、そして後輩達に返すようにしています。「今度はうちの子ども達や後輩達にしたってな」とお伝えして。

 相手を思いやれば、その人の心は温まることでしょう。その思いやりのバトンが次々と渡っていけば、皆の心が豊かになり幸せな毎日を送れるのだと思います。また、自分自身もその思いやりバトンを受ける時が来るのでしょう。