私は色々な話を聞くのが好きです。自分の経験したことがないことを聞くと、ついつい時間を忘れて話し込んでしまいます。言葉を多く交わすと、その人の人柄がわかってくると思っています。
宗念寺では毎月お命日の日にお参りをする「月参り」をしています。ご自宅に寄せていただき、お仏壇の前でお檀家さんと一緒に読経をします。読経を終えますと、少しばかりお話をします。ご自身のこと、ご家族のこと、日常的なことや社会的なこと、色んなお話をお聞きしたり、私からもお話をしたりします。毎月お参りをさせていただき、お話もするので、徐々に人となりがわかってきます。最初は怖い方かな、と思っていてもそうではなかったり、静かな人だな、と思っていてもとても気さくな方だったり。私なりに感じることが出てきます。当然、私は僧侶といえども他人ですから、ご家族のほうが「本当の顔」をご存じだと思います。それでも、その方が亡くなられた時、できる限り私の感じたその方をお伝えします。印象に残った出来事や会話をご遺族にお伝えします。私の義務は、浄土宗のみ教えを伝えると共に、先立たれた方をご遺族に伝えることだと思っています。
私には人を感動させられるような力はありません。私には人を救えるような力もありません。ですが、せっかくのご縁をいただいた出会いです。何か一助になればと常に考えています。その一つが、先立たれた方の人柄をお伝えすることです。
合掌
