小学生の頃、面白そうなテレビゲームを持っていた友達と自分のゲームを交換したことがあります。交換して満足だったのですが、数日すると自分のゲームの方が面白かったなと思ったのです。替えなければよかったと後悔しました。
仏教には少欲知足(しょうよくちそく)という教えがあります。欲望を少なくして、わずかなもので満足するという教えです。私たちはたくさんの欲を持っています。生きていれば手に入れたいものがたくさん出てきますが、その全てを思い通り手に入れられるわけでもありません。私たちはそのことに気がついているはずです。しかし、この欲望を消すことはできません。ついつい足りていないことに目を向けてしまうからです。そんな時は、自分を見直す時です。自分の周りを見直す時です。もうすでに得ているものがあるはずです。これがあるから充分!と思えたら、毎日穏やかに過ごせるのではないでしょうか。そして、今ある現状に感謝する心も芽生えるのではないでしょうか。お釈迦様は、無欲になりなさいとは仰っていません。私たちにとって無欲になることは至難の業ですし、適度な欲を持つことは日々の暮らしに活力になります。無欲でなく「少欲」ということが有難く感じます。
少欲知足の精神を味わうことができれば、今まで感じなかったものが感じられるかもしれません。朝起きて出かけ、夜に帰宅する。そしてまた次の日を迎える。何気ない日常にも変化が現れるのではないでしょうか。
合掌