一昨年、左足のアキレス腱を部分断裂しました。運動はできないかもと言われていましたが、跳んだり踏ん張ったりできないものの、今は走ったりすることはできます。残念なこともありますが、走れることに喜びを感じています。
今月の訓示は「当たり前と思うあやうさ」です。なぜ、当たり前と思うことが危うさにつながるのでしょうか。それは、「当たり前」と思うことが多くなると、同時に「感謝」が少なくなってくるからだと思うのです。仏教では「一切皆苦(いっさいかいく)」と言います。私たちの人生は思い通りにいかないのが常なのですが、「当たり前」があると錯覚してしまいます。その錯覚が私たちに「当たり前」を多く持たせ、「当たり前」が多くなるたびに「感謝」が減っていくのです。たとえば、時間になってもバスが来ない。すると、「遅い」という感情が生まれますよね。時には、渋滞になったりして遅れることだってあります。しかし、バスの運転手さんがしっかりと時間を気にしながら運転してくれるからこそ、運行表通りに進むはずが、遅れたら運転手さんに文句を言う人だっています。こうして、知らず知らずのうちに「当たり前」が私たちの心を支配して、いつしか「感謝」の気持ちがなくなるのです。
一切皆苦の世の中で、当たり前に過ごせることは幸せだと思います。でも、そう有り続けることは難しいのです。これが受け取れれば、今より「有難う=ありがとう」と言えるのではないでしょうか。
合掌