涼しさ奏でる 鈴の音  2023年08月03日

 私は風鈴の音が好きです。夏生まれの私にとって、大好きな夏を感じられるものの一つですし、その音は爽やかにさせてくれるからです。夏の暑い盛り、爽やかな風に風鈴の音。ひとときの安らぎをもらえます。

 『無量寿経(むりょうじゅきょう)』という経典には極楽について説かれているところがいくつもあります。この経典には極楽では「心地よい風」が吹くと説かれています。その風は強くもなく弱くもなく吹き、また風で揺らいだ草木が心地よい音色を奏でます。また、その風は香りを運んできて、触れた者はあらゆる煩悩や欲望を起こさずに、幸福な心地になるのです。

 そんな幸福な心地になれる風を、この世界でも少し感じられる瞬間があります。暑さ厳しい時、心地よい風が吹いてくれると「あ~気持ちいい」と笑顔になるのではないでしょうか。ほんの一瞬かもしれませんが心身共に爽やかになれるのではないでしょうか。現代の暑さは、私が子どもだった約30年前の暑さとは格段に違います。猛暑や酷暑と言われるほどの暑さは、私たちの命を奪うこともできるほどです。そんな暑さ厳しい時、涼しい風が吹くと心地よくなるのだと思います。

 こういった風を「極楽の余り風」と表現するのだそうです。はるか彼方の極楽浄土で吹いた風が少しだけこちらに吹いて、私たちの心を和ませ、爽やかにしてくれるということでしょう。もしかすると、万民救済の阿弥陀様のお慈悲なのかもしれませんね。