学生の頃、友人と電車に乗って1万円でどこまで行けるか、各駅停車ばかりの電車旅をしました。目的地がない旅は最初は楽しみでしたが、次第に途方もない電車旅に私たちは途中で疲れ、楽しむ余裕がなくなってしまいまいした。
気の向くままに、目的地を決めずに出かけることも楽しみの一つかもしれません。でもそれだと行き当たりばったりになってしまう可能性があります。いつしか、楽しむことを忘れ、なぜ今ここにいるのかと自問するかもしれません。その点、目的地を決めて出発すれば見失うことはないはずです。たとえ道のりが長くても、たとえ途中で寄り道をしたとしても、目的地さえ忘れなければ到着できます。
浄土宗のみ教えも同じです。この命の先を見据えてお念仏を申します。浄土宗信者の私たちは極楽に生まれることを目指します。それは、この世にはない安楽があったり、大切な方と再会できたり、生まれた者全ての人が幸せになれる世界だからです。極楽という目的地をしっかり定めてお念仏を申しつづけてさえいれば、私たちがこの先どんな人生を送ろうとも、最期は極楽に到着できるのです。これを阿弥陀仏という仏さまが必ず叶えてくださるのです。
目的地が決まればあとは行動するのみです。達成するには苦労が伴うこともあります。しかし、浄土宗のみ教えは何も難しいものではありません。ご自身の声で「南無阿弥陀仏」と称えるだけです。ただひたすらにお念仏を口にするだけです。
合掌