一心専念 弥陀名号  2024年04月03日

 伝統というのは有形・無形関わりなく色々受け継がれていくことです。伝統において大切なのは「想い」ではないのだろうかと思います。それが脈々と受け継がれていくからこそ伝統になるのではないでしょうか。

 法然上人が出家されたきっかけとなったのは、お父様が臨終間際に「みんなを幸せにする僧侶となってくれ」と遺言を残されたからです。お釈迦様は「本当の幸せとは何か?」を自問自答され、その答えを見つけるために王位を捨てて出家なさいました。その幸せを求めた結果が悟りの境地に達するということだったのです。法然上人は、みんなを幸せにするため、悟りの境地に達することを達すべく苦心されましたが、自分にその能力がないことに気づかされます。「こんな私ではみんなを幸せにすることはできない」と。そんな折「一心専念 弥陀名号」の言葉と出会われました。心を込めて阿弥陀仏のお名前を称えるという意味です。そうすれば極楽浄土に生まれることができて究極の幸せを得られる、そう確信したからこそ、法然上人は浄土宗を立ち上げられたのです。それから、80歳の生涯を終えられるまで、ご自身の幸せと多くの方の幸せを願い、また、分け隔てなくお念仏を弘められたのです。

 今年は法然上人が浄土宗を開宗されて850年になります。法然上人からお弟子様へと受け継がれ、またそのお弟子様が師匠となられた時には次のお弟子様へ。「みんなを幸せにしたい」という想いが脈々と受け継がれて現在にいたるのです。