「憧れはやめましょう。今日一日だけは、やっぱり憧れると超えられないので、僕らは今日を超えるため、トップになるために来たので、今日一日だけは、憧れるのを捨てて、勝つことだけを考えていきましょう」
この言葉は、野球の世界大会WBC決勝戦前に大谷翔平選手が日本代表選手たちに言った言葉です。その顔は穏やかで、言葉は優しくそれでいて決意を感じるものでした。私はこの映像を見た時、鳥肌が立ちました。この若さで、この大一番で、こんな表情、こんな言葉が出るのかと感動を越え、嫉妬すら抱きました。緊張感あふれる試合でしたが、日本代表は憧れを超えて優勝を果たしたのです。こんな人を「周りを照らす人」というのでしょう。
柔らかい表情と優しい言葉で人に接する「和顔愛語」という精神があります。大谷選手のそれは和顔愛語とよべるものだと思います。私もこの精神を心掛けていますが、なかなかできないのが現状です。だからといって、ダメとは思っていません。だって人間ですから(笑)感情的になってしまうこともあります。そんな私でも「周りを照らす人」になれたらいいなと思っています。
浄土宗にとって、和顔愛語でいてくださっているのが阿弥陀さまです。「そのままお念仏に励みなさい。その時が来たら極楽に導くから」と、お念仏申す私たちに、微笑んでくださり優しく声をかけてくださっているのです。阿弥陀さまこそ「周りを照らす人(仏)」なのです。