仏教には自利利他(じり・りた)という教えがあります。簡単にいえば、自分のために他人のために、です。自分のためにしていることがかえって他人のためになっている。逆もまたしかりです。
お墓参りをされる時、まずお墓に水を流し、綺麗にお墓を掃除して、周りの雑草を抜いたりします。それから、お花やお線香をお供えし、手を合わせます。この最中、きっと亡き方のことを思い浮かべながらなさっているのではないでしょうか。さらには、声をかけながらお掃除をなさったりしている方もいらっしゃることでしょう。宗念寺にお墓参りにこられるお檀家さんは、帰る時には皆さん表情が笑顔になっている方がほとんどです。暑い夏でも、寒い冬でも変わりありません。きっと、お参りをすることで皆さんのお気持ちが晴れやかになっているからだと思うのです。私たち日本人には、亡き方やご先祖さまを敬うという心が自然と備わっているのかもしれません。墓参りや墓掃除は自利利他の教えに適っているのだと思います。亡き方のためにお墓掃除をして清めていることがかえって自分の心を清めることにもなっているのではないでしょうか。
お念仏も同じで、亡き方のためご先祖のためにお念仏をお称えしても、それは自然とご自身の極楽往生のためにもなっているのです。どうぞお墓参りの際も、手を合わせた時、南無阿弥陀仏とお称えください。何よりのご供養になりますし、ご自身のためにもなるのです。
合掌