振り返ると、子どもの頃は両親に見守られていたのだなと実感します。思春期には、その見守りが煩わしく感じることもあったでしょう。そして、大人になると、誰にも見守られていないと錯覚するのではないでしょうか。
私たち浄土宗信者にとって、見守ってくださる存在があります。それが、極楽にいらっしゃる阿弥陀仏とご先祖様です。極楽に生まれると、阿弥陀仏と同じ能力が備わります。「遠くの姿を見る力」「遠くの人の声を聞く力」「心の内を知る力」です。阿弥陀仏はこの能力をお持ちですが、極楽に生まれられた方々も等しくこの能力を備えておられます。私たちの行動を見てくださり、私たちの声を聞いてくださり、私たちの思いを汲み取ってくださるのです。残念ながら私たちには見ることができませんが、常に見守ってくださっているのです。
そんな見守られている私たちが、さらなる恩恵をあずかるためのにはお念仏です。お念仏を称えると、阿弥陀仏が「いつでも救うぞ」という心構えでいてくださいます。阿弥陀仏から差し伸べられた手を私たちが掴めば、ギュッと掴んで引き上げてくださるのです。そして、極楽に生まれた私たちも、今度はこの世界に残った方々を見守ることができる存在になるのです。
大人になったからといって見守ってくださる方がいなくなるのではありません。私たちを気にかけていただける方がいるのです。そんな見守ってくださる幸せを噛みしめながら、お念仏に励んでみませんか?
合掌